平成30年9月29日(土)~30日(日)の1泊2日で、鷺山小学校体育館において鷺山校区子ども会育成会 防災キャンプを開催いたしました。
防災キャンプでは、鷺山ではまだ実施したことがない宿泊を伴う避難所開設訓練に取り組みました。参加したのは、鷺山校区子ども会育成会 インリーダー生とその保護者、鷺山自治会連合会、岐阜市北消防団鷺山分団、鷺山水防団、鷺山女性防火クラブ、岐阜赤十字奉仕団鷺山分団をはじめとした防災に関わる各関係者です。
まずはじめに、鷺山校区の子ども会の会長の皆さんと共に、普通救命講習Ⅰの訓練を受けました。訓練は、岐阜北消防署の職員の皆さんがお越しになり、胸骨圧迫、AEDの使用方法、人工呼吸の仕方、窒息しそうなときに喉に詰まった物を吐き出させる方法について教えてもらいました。
胸骨圧迫では、上半身の人形を使って訓練を行っていきました。1分間に100回程度の圧迫を救急車が到着するまで実施し続けることが出来るかどうかが、要救助者の回復に非常に大きく影響することを教えてもらった後、30回 3セットの胸骨圧迫を全員で行っていきました。
岐阜市では、119番通報をしてから、救急車が到着するまでに平均で約6~7分程度の時間が必要です。その間、要救助者を発見してから胸骨圧迫をし続けるのには、非常に体力が必要な作業であることが実感出来ました。そのため、胸骨圧迫による心肺蘇生は、できるだけ多くの人が協力して、絶え間なく行うことが重要であると説明を受けました。
その後、AEDの使用方法について訓練を行いました。黒板に心電図の波形を描いてもらい、AEDが必要な心電図の波形はどれなのかクイズも行いました。参加者は各々がどの波形の時にAEDが必要なのか手を挙げて回答をしていきました。
①の波形は、健康な心臓の背景になので、AEDは必要ありません。③の波形は、心停止してしまっている状態を表しています。この状態になると蘇生が非常に難しくなります。また、心停止状態ではAEDは機能しません。実は、AEDは②の波形のように、心臓が不規則に活動をして全身に血液を送り込むことが出来ない『心室細動』という状態を正常に戻すための機械になります。心停止した状態から、心臓の鼓動を取り戻す機械だとお持っている人が多くいるのですが、実はそうではありません。
そのため、心臓が心室細動という心停止直前の状態の時に、如何にして胸骨圧迫、AEDの使用によって、救急車が到着するまでに救命活動ができるかが、非常に重要になるのです。そのようなことを教わった後、胸骨圧迫とAEDの連携作業による心肺蘇生訓練に挑戦しました。
その後、喉に物が詰まって、窒息しそうな時に、どのようにして吐き出させるのか訓練しました。主な方法として、背中を手のひらの付けで左右の肩甲骨の中間あたりを強く叩いて吐き出させる『背部叩打法』と、腕を後ろから抱えるように回して、片方の手を握りこぶしにして、その握りこぶしを要救助者のみぞおち付近にあてて引き上げて圧迫する『ハイムリック法』という方法を教えてもらいました。なお、『ハイムリック法』は、内臓を痛める可能性があるので、『背部叩打法』の方が安全に対応が出来ることも押してもらいました。
普通救命講習Ⅰの受講が終わった後には、いよいよ、体育館にて避難所開設の訓練、ピロティにて仮設調理場の説明及び調理訓練です。事前に、小学校グラウンドの東側にある「防災倉庫」の資材が体育館に運ばれていたので、その資材を活用して避難所開設、仮設調理場を設営していきました。
避難所開設では、まずはじめに、床からの冷え込みを抑えるマットを敷き詰めていきました。避難してきた人がトイレに行ったり、食事をしたりするスペースを確保しながら、どのように間仕切りを設置していく必要があるのか、参加したインリーダー生が考えくれました。
マットが設置された後、段ボール製とビニール製の間仕切りを組み立てていきました。間仕切りは、2m✕2mのスペースとなっており、この囲いが避難してきた皆さんのプライバシーを守る仕切りとなります。設営してから、参加した皆さんも感じたのですが、長期の避難所生活を用する場合は、この様な簡易な間仕切りだけでは、プライバシーが確保出来ず、非常に大きなストレスになるだろうと思いました。
避難所開設訓練が進められている頃、ピロティでは、仮設の調理場が設営されて夕食の準備が進められていました。この日の夕食は、アルファ米とツナカレーです。
長机を調理台にして、インリーダーデー生がじゃがいも、人参、たまねぎ、キノコなどたくさんの野菜を切っていきました。120人分のカレーの材料を切っていくのは、なかなか大変な作業です。女性防火クラブや赤十字奉仕団の皆さんのフォローをもらいながら、火が通りやすいように細かく野菜を切っていきました。
野菜を切り終えたら、120人前のカレーを煮込む大釜のセッティングです。ものすごい火力のコンロに大きな釜をのせて、その中で野菜を炒めていきました。途中、古田校長先生にも手伝ってもらいながら、鍋底に材料が焦げ付かないように大きなしゃもじを使って炒めていきました。
アルファ米の炊飯では、段ボールとビニールを使って、熱湯を注ぐだけでお米を炊き上げていきます。特殊な加工がされたアルファ米を、段ボールの中のビニール袋にいれて、その中に熱湯を注ぎ込んでいきます。段ボール1箱で50人前の炊飯が出来ます。
熱湯を注ぎ込んだ後は、ビニール袋の口をしっかりと結んで、段ボールを閉じて保温していきます。これだけで、御飯が炊き上がるんです!
アルファ米の炊飯準備が進められる頃、カレーの大鍋では、ルーを入れて煮込む作業に取りかかっていました。ちょっと味見もしながらおいしく出来ているかインリーダー生が確認しがら、仕上げをしてくれました。
アルファ米の炊飯が出来たら、いよいよ配膳です。インリーダー生が手分けして器に御飯をよそった後、カレーのルーをかけていきました。お互いがあうんの呼吸で役割分担をいていき、参加者の夕ご飯の準備をしてくれました。
体育館で待っている参加者にカレーライスを配って、全員揃って『いただきます!』とてもおいしいツナカレーを頂きました。参加者は、2杯、3杯とカレーのおかわりをして、お腹いっぱい夕食を頂きました。実際の避難所での生活では、このような充実した夕食は望めないでしょうから、食事をできる事のありがたさをかみしめながら、食事を摂っていきました。
夕食が終了して後片付けを終えた後は、消灯までの一時、自由時間です。子ども達はグループでトランプやウノをしたり、大勢でゲームをしたりして楽しんでいました。また、宿泊する間仕切りに表札を作って、オリジナルのスペースを作っているインリーダー生もいました。
消灯前の一時に、初日の活動について、振り返りの活動を行いました。宿泊するインリーダー生からそれぞれ感じた感想を、参加している皆さんに発表してもらいました。
2日目の朝は、一番はじめにラジオ体操を行いました。ラジオ体操の指導は、鷺山体育振興会の古田 雅義さんと梅田 道洋さんに行ってもらいました。避難所の床は、決して寝心地のよいものではないので、床の堅さで体の節々がいたくなっている人が大勢いました。この様な寝床で長期間寝泊まりをすると、体の血管に血栓ができてしまう『エコノミークラス症候群』という恐ろしい病気を発症してしまうことが想像出来ました。そのようなことにならないためにも、水分補給や体を動かすことの重要性がよく分かりました。
2日目の朝食は、避難所で出される朝食を想定して、アルファ米の五目御飯、インスタントのお味噌汁そして缶詰です。前日の夜のカレーライスの調理で学んだことを活かして、インリーダー生が手際よく朝食の準備を行ってくれました。
朝食を終了した後、避難所と仮設調理場の撤収作業に取りかかりました。なお、間仕切りを撤収する前に、宿泊をしなかった参加者が、間仕切りの中での寝心地を確かめていました。ちょっと寝転ぶだけで、決して寝心地がよくないのがわかりましたので、宿泊するとなると、色々と準備をしておく必要があるなと感じた人もおみえになりました。
手分けして、間仕切りの撤収、マットの片付けを終えた後、体育館の床の清掃をはじめ、避難所として使用した場所の清掃に取りかかりました。また、避難所開設に使用した大きな資材は、自治会連合会、消防団、水防団の皆さんがリヤカーを使って、防災倉庫に運んでくれました。
後片付けも終了して、参加者が体育館に集まって、2日間の振り返りを行いました。参加したインリーダー生の皆さんからは、間仕切りを使ったスペースで就寝した感想や、大鍋を使った調理に取り組んだ感想なども頂きました。また、この様な避難所生活が、1週間、半月、1ヶ月以上と長期になった場合、避難してくる私たちが何を準備すべきなのか考えていく必要があるという感想を言ってくれるインリーダー生もいました。
この防災キャンプで過ごした2日間は、避難所生活からいえば、ほんの少しの時間ではありますが、その中で感じたこと、気づいたことを、今後、災害が発生したいざという時に活かしていく必要性を実感した訓練となりました。防災キャンプの開催にあたって、多くの皆さんに協力いただいた事に感謝申し上げます。
この日の様子は、さぎ山写真館にも掲載されています。こちらもご覧ください。